紀元前5500年のたねを受け継ぐ~マシュピ農園のカカオ

文:和田彩子


カカオの学名、Theobromaはギリシャ語で「神の食べ物」を意味します。 マヤ文明やアステカ文明でこの飲み物を知識やエネルギーの源、そして媚薬や香油として、またカカオ豆は通貨として、そして神々への捧げものとしても重要な役割を果たしていました。現在では、活性酸素の働きを抑えるポリフェノールや脳の集中力や記憶力を高める作用があるテオブロミンに代表されるカカオ豆の成分の健康効果のために、まさに「神の食べ物」として改めて注目されています。

現在世界で生産されているカカオ豆のおおまかな分類としては、主に西アフリカで生産されているフォラステロ種、南米・カリブ海諸国で生産されているクリオーヨ種、そして前述二種類のハイブリッド種であるトリニタリオ種というのが主な三種です。

そして第四のカカオを呼ばれるのがエクアドルでしか栽培できないナシオナル(アリバ)種です。原生種に近く、香り高い種ですが、病気に弱いため、現在生産されているのは全体の2%程度の希少な種類。マシュピで栽培されているのは、このカカオ・ナシオナルです。



定説では、カカオの起源は紀元前3000年のメキシコと言われていますが、近年、エクアドル南部にある紀元前5500〜5300年の遺跡で発見された陶器の中に、カカオの澱粉が発見されました。そういった意味でも、カカオはエクアドルの貴重な自然のアイコン的な生産物と言えます。

マシュピの森の木々やフルーツなど様々な樹木の中で育つカカオは、周りの育つ花や果実の香りや風味を受け継ぎます。他に類を見ないくらいたくさんの樹木があるおかげで、マシュピのカカオは他のカカオにはない、複雑で芳醇な香りをもつカカオになるのです。




マシュピで育てられたカカオは、EUとアメリカUSDA有機認証の二種類の有機認証を取得しています。自分たちの取得した、多品目栽培、原種に近いカカオの育て方、病気対処などのノウハウを周辺の50のカカオ農園に技術指導し、彼らがドイツのBCS認証を取得する支援を行っています。

この地域の人々には、「農民」イコール「貧しい」というイメージが固定化されていますが、多品目栽培の豊かな畑を作っていくことで、自給率を高め、そう生きることができるのは豊かであることを認識できるようになってきています。

写真はこちら↓ https://photos.app.goo.gl/FjUmRqpkiT514ySEA




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